女性MRコンサルのフラームジャパンのインタビューページ

INTERVIEW

インタビュー

製薬業界を牽引するエグゼクティブの方々。
これまでの貴重なキャリアヒストリーや、ダイバーシティ推進が描く未来について、
インタビュー形式でお話を伺いました。

ImpossibleをI'm possibleに。
変えていくのは自分自身。

こういうやり方しかない、
こうしなければならないという
固定概念にとらわれない。
自分なりのスタイルを見つけ、そして楽しむ!

executive interview

ムンディファーマ株式会社 代表取締役社長

辻 和美

Kazui Tsuji

インタビュイー人物画像
インタビュイー人物画像


PROFILE


【日本イーライリリー株式会社】https://www.lilly.co.jp/


・MR・臨床開発部


【留学】


University of San Francisco MBA


【ファイザー株式会社】https://www.pfizer.co.jp/


ニュープロダクトプランニング(NPP)
NY本社New Product Development
マーケティング リピトールチーム チームリーダー
マーケティング リピトール・チャンピックスチーム チームリーダー
エスタブリッシュ医薬品事業部門 マーケティング統括部長
Global ブランド アジアパシフィック 担当
リウマチ事業統括部 Division Head


【ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社】https://www.bms.com/jp


肝臓/血液事業部門長
肝臓/血液事業部門長 兼 循環器/免疫事業部門長
イノベーティブ医薬品事業部門長


【ムンディファーマ株式会社】https://jp.mundipharma.com/


代表取締役社長

INTERVIEW

インタビュー

典型的な日本人女性MRになろうとした20代。
海外での出来事が既成概念を破壊するきっかけに。

 

 

きっかけは女性MRの方の講演を聞いたこと。
イキイキと仕事をされていた彼女に魅了された私は、

当時MRの仕事がどういったものかも良く分からないまま、MRとしてキャリアをスタートしました。

 

——— プライベートでは最近は何をされていらっしゃいますか?

 

辻:今年のテーマを「something new」と掲げているのですが、どんな小さなことでも、これまで経験したことのないこと、新しいことを年齢の数だけ経験しようということで、様々なことを試しています。

——— たとえば、何か新たにやってみたことをご紹介いただけますか?

 

辻:ヨガクラスに初めて行ってみました。ヨガのポーズを実践すると、普段は使わない筋肉を動かし、自然な流れの中で心が解放されて深くリラックスできます。とてもリフレッシュできるので、定期的にクラスに通っています。

 

——— 仕事のストレスがあったときは何をされていますか?

 

辻:あまりストレスを感じない方かもしれません。特に最近はそうかもしれませんね。その分チームの皆がストレスを感じているかも(笑)。

 

——— 辻さんがMR職に就こうと思ったきっかけは何ですか?

 

辻:私は、新卒で日本イーライリリーにMRとして入社したわけですが、入社のきっかけは、イーライリリーでMRとして仕事をされていた大学の先輩の講演を聞いたことです。彼女は会社紹介の表紙にも掲載されていて、とてもイキイキと仕事をされている様子が、当時の私にはとても素敵に映りました。
あっという間に魅了された私は、彼女の働いている会社で同じ仕事をしてみたいと思い、イーライリリーのMR職で面接を受けました。

 

——— 当時、営業職の女性割合はどの程度でしたか?

 

辻:営業職での私の同期入社は60数名いましたが、その内2割くらいが女性でしたね。
当時、私が配属になった香川県では、女性MRは私を入れて2名程度でした。
東京・大阪といった都市部には女性MRも増え始めてきていた時期でしたが、地方では、まだ女性MRはとっても珍しい存在でしたね。

20代の時は典型的な日本人女性でした。
自分を一生懸命型にはめようと努力していて、
とても息苦しかったです。

 

——— 辻さんの現在までのキャリアパスについて教えてください。

 

辻:私は日本イーライリリーでMRとしてキャリアをスタートし、約5年営業を経験した後に、臨床開発部に異動する機会がありました。その後、MBAを取得するためにイーライリリーを退職し、サンフランシスコ大学で学びました。
卒業後、ファイザーにニュープロダクトプランニングのアナリストとして入社し、その2年後にはNY本社で新製品企画部のアナリストとして働く機会を得ました。日本に帰国後、循環器製品のマーケティング部長を務め、その後、新たに設立された長期収載薬・後発品を扱うエスタブリッシュ医薬品事業部のマーケティング統括部のヘッドとして、約80製品2000億円の製品ポートフォリオのマーケティングを行いました。

そしてアジアパシフィックのマーケティングリードを経験した後、リウマチ事業のディビジョンヘッドとして、マーケティングと営業の組織を統括しました。2016年8月からはブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)で肝臓・血液事業部門の、そして現在はオンコロジー事業部門の部門長を務めています。

——— 人生のハイライトがすごい!どのようにしてキャリアを積んでこられたのでしょうか?意識変化のきっかけや、ターニングポイントは何でしたか?

 

辻:イーライリリーの臨床開発部で仕事をしていた時、新製品のマーケティングを担当しているニュープロダクトプランニング(NPP)の方と仕事をする機会があり、私もNPPで仕事をしたいと強く思うようになりました。しかしながら、NPPで仕事をするには、英語、そしてマーケティングのスキルが必要で、当時の私にはどちらのスキルもありませんでした。
さぁ、どうやってそのギャップを埋めるかな、と考えた結果、MBAを取得することを決心しました。
思いついてから数年の時を要したものの、結果ファイザーでNPPのアナリストとして仕事をスタートすることができました。
この時に、ゴールを決め、ギャップを洗い出し、そのギャップを埋める努力をすれば夢は叶うんだという、私にとって非常に大きな成功体験を経験し、この経験はその後の私のキャリアに対する考え方に大きな影響を与えました。

 

——— 上昇志向が強いですよね!

 

辻:そんなことはありませんよ。20代の時は典型的な日本人女性でした。20代後半にアメリカに渡りましたが、私がそこで学んだ一番の出来事は、自分が常識だと信じていたことが常識ではなかったと気付いたことです。例えば、上司とはこういう存在であるべきだとか、女性は社会ではこのように振る舞うことが期待されている、とか。
当時の私は、その枠に自分をなんとか当てはめて生きようとしていたのですが、自分が常識だと思っていたことは、全く異なるカルチャーバックグラウンドをもつ彼ら・彼女らにとっては常識ですらなく、今まで自分は、自ら作った既成概念に縛られ、自分を制限していたのだと気づきました。

 

——— 初めて管理職になられた時、自分より年上のチーム員の反応はいかがでしたか?

 

辻:社内でネガティブな反応を感じることはなかったですね。
社外では、「マーケティングの責任者です」と挨拶に行くと、頼りになるか心配されるといったバイアスは感じましたね。まだ若かったですし、当時は女性のマーケティング責任者は珍しかったので、「この人で大丈夫か?」というネガティブな反応はありました。
当時感銘を受けたのは、「インビクタス」という詩です。南アフリカ初の黒人大統領となったネルソン・マンデラ氏は、黒人を解放しようと働きかけ、20年以上牢屋に入れられました。その獄中の彼を支えたのが、インビクタスという詩だそうです。
「私が我が運命の支配者、私が我が魂の指揮官なのだ(I am the master of my fate. I am the captain of my soul.)」
投獄され身体が拘束されても、私の考えにまで影響を与えるものではない、ということです。
周りの反応を変えられなくても、自分がどのように感じ、どのような反応をするかは自分の心次第であって、周りのネガティブな対応に、自分の心や行動が支配されてはいけないということなのだと思います。

 

——— 女性と話していて、仕事を辞めないで働き続けるという考え方の人は少なく、いつか辞めると考えている人が多いですね。
昔の仕事の考え方と、今の考え方のギャップはありますか?

 

辻:何が何でも続けなければならないと思ったことはありません。留学中は無職でしたし(笑)。ただ、毎月の給与がないのは経済的には厳しかったですね。
いつでも辞められるのだと思うと気が楽になって、逆に続くのかもしれませんね。ベストセラーとなった「The 100-year Life(和訳版 「LIFE SHIFT(ライフシフト)」)の中でも、これまでの教育→仕事→引退という画一的な3ステージからなる人生から、マルチステージの人生を考える必要性が出てきていると書かれています。
仕事は休む期間があっても良いと思います。休んでいる期間は、新しいスキル・知識の習得、ネットワーキングの時間に使って、次の仕事にシフトしていく準備に使うと良いと思います。
私自身も、製薬での仕事を遣りきった!と思えた時には、全く違った仕事をしてみたいと思います。人生100年ですから。

 

女性を縛る固定概念もチームと一緒なら打破できる。

チャレンジ精神を忘れずに。

 

 

 

一人でできないことも、チームの仲間となら
何とかなるような気がします。
だからプレッシャーには感じませんね。

 

——— 辻さんにとっての仕事とは、一言で言うと何でしょう?

 

辻:一言では難しいですね。強いて一言で表すと、「楽しい」ですね。

 

 

——— 上司として心がけていることはありますか?

辻:組織のメンバーひとりひとりが、「毎日やりたいことができ、充実していると感じているか」ということが、私にとってとても重要なことです。自己実現できているか。そういった環境整備のできるリーダーで有りたいと思っています

 

——— 少しずつ女性のマネージャークラスが増えておりますが、女性管理職として必要な素養、忘れてはいけないポイントはありますか?

 

辻:固定概念にとらわれない、「こういうやり方しかない」と思い込まないこと。誰かと同じである必要はありません。自分にあったやり方があるはず。そして楽しむことです。

 

——— 成功の秘訣は何でしょう?自分のこれがなかったらここにいなかった、と思うポイントなどがあれば!

 

辻:成功かどうかは別にして、楽しむことかな?様々な壁にぶつかってきましたが、その経験から一つ言える事は、結構「何とかなる」ってことです。
心を煩わせても煩わせなくても、結局「何とかなる」ならその状況を楽しもう、といつも思っています。

 

——— その起源はどこからきているのでしょうか?

 

辻:チームの皆です。
一人で壁に立ち向かわなければならないと思うと、しんどいと感じることもあるかもしれませんが、仲間と一緒なら何とかなるような気になってきます。自分にはないアイデアや経験を持っている仲間がいます。一人ひとりでは達成できないことも、チームでなら達成できるのですよね。

もし不可能だと感じることがあるのなら、
それは自分が作った固定観念。
自分を制限せず、自信を持って一歩前に!

 

——— 今働いている女性にメッセージをお願いします。

 

辻:皆さんの目の前には無限の可能性があります。もし不可能だと感じることがあるなら、それは自分が勝手に作った固定概念です。自分で制限して欲しくない。周りから不可能だと言われても、先ほどご紹介した詩を思い出して下さい。周りのネガティブな声に心を煩わすのは、自分にとってマイナス。

ImpossibleをI’m possibleに変えるのは自分自身。
みなさん自信を持って一歩前に!