フェムテック推進事業の取り組み

フェムテック推進事業の取り組み

フェムテックが照らす女性活躍の未来

丸紅株式会社 野村優美 ×フラームジャパン株式会社 飯嶋真美

丸紅に入社後、主に金融事業に従事。ノンバンク事業や海外新規金融ビジネス参画検討、国内中堅中小企業の経営支援を行うPEファンド事業などを担当した後、経営企画部に配属。国内事業の拡大・推進を図るミッションのもと、日本の社会課題を解決する事業としてフェムテック市場へ参画し、フェムテックサービス『ルナルナ オフィス』を提供する新会社・株式会社LIFEMをパートナー企業とともに共同設立。LIFEMの取締役も務める。

女性だからこその視点を活かせる事業を生み出したい

飯嶋:総合商社の総合職は、非常にハードワークなイメージですが、野村さんはこれまでどのようなキャリアを歩まれてきたのでしょうか?

 

野村:新卒で入社してからずっと、金融系の仕事をしてきました。直近ではプライベートエクイティファンドの事業にも携わりましたね。2020年、社内で国内事業を強化する動きがあり、国内事業推進チームへ異動に。新規事業の検討を進めました。

現在は、女性の健康課題を会社として支援する法人向けプログラム「ルナルナ オフィス」の事業チームのリーダーをしています。

 

飯嶋:野村さんがフェムテック事業を始めた経緯を教えてください。

 

野村:国内事業推進チームは、新たなビジネスの立ち上げがミッションです。異動に伴い、ビジネスの種を見つけることから、立ち上げ準備から事業拡大までを担当することになりました。

そこで、丸紅がこれまでビジネスを立ち上げてきたノウハウをもとに、日本国内の社会課題とは何か、それを解決できる事業は何か、という軸でビジネスのアイデアを考えていきました。多数あるアイデアの中でも私だからこそ価値が創出できることを考えた末、女性活躍推進や健康経営といった社会課題に直結するテーマとして「フェムテック」に着目したのです。

その後、ご縁があって、約20年前から女性ヘルスケアサービス「ルナルナ」を展開されているエムティーアイさん、およびその子会社のカラダメディカさんと事業提携をすることになりました。ルナルナのコンセプトを引き継ぎながら、働く女性を支援する法人向けのサービスとして立ち上げたのが「ルナルナ オフィス」です。

 

飯嶋:ほかにも選択肢はたくさんあったと思います。なぜ数あるビジネスの種の中でも、フェムテックを選んだのでしょうか?

 

野村:金融の分野で仕事をしていた頃は、企業の資金調達についての情報をよく耳にしたので、直近でフェムテック事業が資金調達をしたニュースが増えていたこともあって関心がありました。

 

また、丸紅の社内には女性社員が少ない中で、フェムテックは私だからこそバリューが出せる分野ではないかと考えました。というのも、ファンドの仕事をしていたときに、化粧品関連事業への投資を検討したことがあるのですが、周囲が男性ばかりで、基礎化粧品とメイクアップの違いや、基礎化粧品の種類、使い方の順番について誰も知識がなかったんです。それを説明しただけで、おおーっと場が湧いて(笑)。そんな経験から、男性が多い企業だからこそ、女性の視点が活かせる分野があるんだと気づいたんです。

飯嶋:なるほど。女性が少ない職場で働いていたからこそ、問題意識も芽生えていったのですね。中でも、フェムテックは0→1のステージ。これから大きくなる市場です。なんでもできる今だからこそ面白い分野ですよね。

  
野村:市場を作っていくステージならではの面白みがありますね。何より、社会的に取り組む意義の大きいことを担っている使命感があります。女性活躍をはじめダイバーシティの取り組みはESG経営においても重要な構成要素であり、企業のサステナブルな成長にも欠かせません。社会課題の解決とともに、日本の経済成長につながる非常に重要なテーマです。
社内では、女性はもちろん男性も意外なほど応援してくれており、注目度が高いですね。
 

ルナルナ オフィスで女性の健康課題を解決し、
よりよいキャリア構築に

飯嶋:ルナルナ オフィスは、どのようなサービスなのでしょうか。

 

野村:ルナルナ オフィスはさまざまなライフステージにおいて、働く女性が向き合う健康課題の改善を幅広く支援し、社内啓発から個人のサポートまでを行います。

 

1つ目は、現状課題のアセスメントです。女性の健康課題の観点で、働くにあたっての障害となっていることを可視化し、どのような取り組みが必要とされているのか、男性従業員の意見もあわせて調査し取り組んだ場合の効果について見積もります。

2つ目は、産婦人科医監修のセミナー。男女や上司部下などの立場関係なく、女性の健康課題に関する法人全体のリテラシーを高めることで、ジェンダーコミュニケーションのきっかけづくりにもなります。


3つ目はオンライン診療・相談をもとにした改善プログラム。提携しているクリニックがあるので、クリニック選びや通院にかかる時間が削減でき、忙しい女性にとっては、診療を受ける物理的なハードルをグッとさげることができます。かつ、費用は会社負担のため自己負担はゼロで、金銭的な負担もありません。知識をつけても行動を起こさない限り、課題は解決しません。実際に女性が自身の健康課題に対処する行動を始めるところを支援できるよう作りこんでいます。


 これらのサービスを利用していただくことで、フェムテックを福利厚生にとどめず、組織全体としての女性のパフォーマンスを向上し、経済効果の創出まで繋げていくことが、ルナルナ オフィスの特徴です。
 
飯嶋:「なんとなく体調が良くない」といった場合、そもそも誰に聞けばいいのかわからない、というのは第一の障壁ですよね。一番信頼できるのは医師です。オンライン診療で気軽に医師に相談できることは、健康管理のためのツールにとして一番の必須要素と考えます。 

野村:早ければ5分くらいで診療が終わるので、ランチタイムに受診される方も多いです。また「この症状は更年期症状なのか、それとも違う不調なのかがわからず、クリニックに行くのは気が引ける」という方も、「オンラインで相談できるなら」と使ってくださる方もいます。心理的なハードルも下げられるのも、オンライン診療の良さだと思います。
 
 

飯嶋:今まで健康に不安を感じていたけれども行動を起こしていなかった人が診療にアクセスできるようになることで、これまで抱えていた健康課題が解決し、より一層仕事に打ち込むことができます。女性のキャリア構築支援をしている身としては、このようなサービスが生まれたことはビッグニュースですね。

女性の健康課題への取り組みは、全員活躍が可能な組織へとつながる

飯嶋:フェムテックと聞くと、「生理に関する何か」みたいなイメージがもたれていて、中には「女性優遇だ」という誤解もまだ多いですよね。

 

野村:残念ながらそういった声はよく聞きます。ただよく考えてみると、健康課題において、2000年代以降に普及した禁煙外来やメタボ健診の対象者は圧倒的に男性が多いです。これらは男性優遇だとは言われないですよね。

世の中の当たり前は、男性向けにつくられていることも多いです。だからこそフェムテックによってギャップを埋めて、全員活躍につなげる意識へと変えていくことが必要だと思います。


飯嶋:「全員活躍」が本質ですよね。女性も男性の体について知らないことも多くあります。お互いを理解しようとするマインドセットを持つことが、チームのパフォーマンス向上や全員活躍ができる組織づくりにつながります。その手段として、フェムテックは大いに活用できると感じますね。

Forbes JAPAN WOMEN AWARDへ協賛

飯嶋:「JAPAN WOMEN AEARD」はForbes JAPAN社が主催する、女性が当たり前に能力を発揮し、リーダーとして活躍できる社会にすることを目的としたアワードで、フラームジャパンも運営に関わっています。今回丸紅様には、JAPAN WOMEN AWARDへご協賛いただいたのですが、その背景を教えてください。

 

野村:JAPAN WOMEN AWARDは女性活躍推進をテーマとしており、ルナルナ オフィスとの親和性が非常に高いと思いましたね。

 

飯嶋:私もそう思います。まさに、JAPAN WOMEN AWARDは、ルナルナ オフィスのためにある、というか(笑)。野村さんとは初めて会ったときに、「フェムテックが女性のキャリアとどう結びつくのか」というディスカッションをしたんですよね。

 

野村:そうでしたね。先ほどお話ししたとおり、私たちとしても、女性の健康課題に対するサービスとして女性のキャリア構築への貢献は見据えていたものの、企業に説明しても、どうしても福利厚生的に見えてしまい、真のコンセプトが伝わりきっていないように感じていました。

 

そこで、JAPAN WOMEN AWARDのコンセプトとともにPRすることで、より多くの方にサービスの特徴だけでなく、その根底にある課題意識や目指す姿もお伝えできるのではと思い協賛を決定しました。

飯嶋:JAPAN WOMEN AWARDは2016年に私がトップインタビューに登壇してから運営に関わっているのですが、アワードができた当初は、女性役員や女性社長といった、いわゆる活躍している女性個人を表彰していました。

それから徐々にコンセプトも世の中もブラッシュアップされていき、活躍できる女性を生み出すための組織づくりに貢献した人が表彰されるようになりました。今年、丸紅さんがルナルナ オフィスを掲げて協賛されたのは、アワードを初期から見てきた私にとっては一つの転換点だったと感じています。フェムテック事業を展開する企業の協賛ははじめてでしたし、フェムテックが女性のキャリアにどう結びつくかに切り込んだ、新しいアプローチでした。実際に反響はいかがでしたか?
 
野村:非常に多くのお声をいただき、皆さんの関心の高いテーマであることを実感しました。
Forbesの購買層である会社の経営者やエグゼクティブの方からも多くの反響があり、女性の健康課題は会社にとって重要な経営課題であるということに対して理解を深めていく機会にもなったと思います。
私自身も、私たちがこれまで取り組んできたことを発信させていただくことで、改めてルナルナ オフィスが「女性のキャリア構築」「組織全体のパフォーマンス向上、組織風土の改革」に向けたサービスであるというコンセプトを明確にすることもできました。
 

飯嶋:ここからどうムーブメントを作っていくかが大勝負だと思っています。まさに野村さんの腕の見せ所になりますね!

 

野村:そうですね、本当に腕の見せ所です(笑)。女性活躍推進の取り組みはどの企業でも当たり前にされてきていますが、女性比率を増やすというような表面上の取り組みにとどまっている例も少なくありません。健康課題という切り口を打ち出して、新たに気づきを与えるきっかけになればと思っていますと

フェムテックを通して実現したい社会

ここに見出しテキストを追加

 

飯嶋:最後に、これからフェムテック事業を通して実現したい社会についてお聞かせください。
 
野村:まずは、女性社員の健康状態の改善をサポートすることが、ルナルナ オフィスが最優先すべきベネフィットです。今後については、組織のヘルスリテラシーを向上させ、ジェンダーコミュニケーションが促進するようなサービスも付け加えたいと考えています。それにより、職場環境の変革を促していきたいです。 
 

 飯嶋:フラームジャパンでは、出産後のブランクがある女性MRの復職プログラムなども実施しています。その中で、企業による「体に障るといけないから無理に仕事をさせてはいけない」「子供を産んで1回休んだ女性MRが復帰すると社会人としてのビジネスマナーがなくなっている」といった誤った認識が女性MRの退職につながっていることが分かりました。また当事者である女性MRも、「子どもを産んだら辞めなければいけないと思っていた」と自ら道を狭めているケースもあると分かったんです。

 
なぜこのような事態に陥るのか考えたところ、妊娠したときや育休から復帰するときに、「こうやって会社と向き合いましょう」「こんな出来事があったら言ってください」「育児中の女性にはこんな声かけをしましょう」といった研修やトレーニングがないことに気づいたんです。これまで男性中心で作られてきた慣習がある中で、企業において社員のライフイベントとの向き合い方は誰も知らないし、考えられてこなかったんですよね。
 
加えて、女性の健康課題については女性自身も言ってはいけない、周囲も聞いてはいけない、みたいな空気がありますよね。そして適切なコミュニケーションが取れないまま、「わかってくれない」とか「体調管理がなってない」とか、それぞれに誤解してしまうケースがよくあります。
 
野村:確かに、お互いに聞かないまま勝手に思い込んでいることは本当に多いですし、誰も教えてくれませんよね。
 

飯嶋:その点、ルナルナ オフィスにはすごく期待しています。ルナルナ オフィスで女性の健康課題との向き合い方まで切り込み、女性側も企業側も共通認識をもつことができると、何か違った未来が見えてくるのではないでしょうか。 

 
野村:まさしくその通りです。組織全体のカルチャーチェンジを支援し、女性の健康課題に取り組むことが社会として当然とされる世の中をつくる。それが私たちの目指す未来です。時間はかかるかもしれませんが、社会を変えていくためにがんばりたいですね。
 
飯嶋:私の創業当時は育休から復職する女性MRはほとんどおらず、一度退職してしまうとMRとして社会復帰する道筋は、フラームジャパンだけでした。それが今では、女性MRが育休から復帰することは当たり前になっています。創業当初はこのビジネスに反対意見ばかりでしたが、今ではもう聞かれなくなりました。一度流れができ始めれば社会は大きく変わっていくものです。
 
しかし、その「流れ」を作ることが難しいですし、利益出るか出ないか、どう転ぶかわからない中で立ち向かっていくことは、企業としてはかなり大きな選択だと思います。それを野村さんがどう動かしていくか、私個人としてもとても楽しみです。それこそ日本のフェムテックどころか、ジェンダーバイアスやジェンダーの問題を大きく揺るがす出発点になると思いますよ。
 
野村:身が引き締まる思いです。私たちは小さなチームながらも、大きな発信、大きなムーブメントを作ることを目指して事業に取り組んでいく所存です。社会を変えていくことを目指して、今後も励んでいきます。飯嶋さん、これからもどうぞよろしくお願いします。
 
飯嶋:こちらこそ、これからも力を合わせて、女性活躍の未来をつくっていきましょう。

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